風邪が治りかけている所へ食中毒に当ってしまい、当日はベッドの上で熱にうなされているという、近年最悪の誕生日となってしまいましたが、何とか快復しました。まだ咳が続いておりますが。

マラソン

さて、このサイトに誕生日の日記を綴り始めた2009年はハーフマラソンを完走しました。いずれはフルマラソンを完走したいと真剣に思い始めたのもその頃だと思います。実現には4年かかりましたが、今年初出場し、4時間18分で無事に完走しました。

サンフランシスコマラソンを4時間18分で完走![その他の写真]

ドイツ旅行

夏には妻がドイツで学会発表をすることになったので私も休暇を取り旅行を楽しみました。二度目のベルリンと初めてのミュンヘンを訪問しました。昨年は妹夫婦を訪ねてフランスに行きましたが、西ヨーロッパ旅行を思い出すと、郷愁に似て非なるつんとした匂いにおそわれます。おそらく16歳の夏をイギリス、18歳の夏をイタリアで単身過ごした経験が今も奥底に突き刺さっているからだと思います。ドイツから帰ってからしばらく、ノイシュバンシュタイン城を見学してミュンヘンの宿に戻る列車の中で撮ったこのビデオを何度も見返していました。

バイエルンの雹。その他の写真 from Daigo Tanaka on Vimeo.

スタートアップライフ

昨年1月に働き始めたシリコンバレーのスタートアップ、ファイブスターズは本部をサンフランシスコに移し、前年をさらに上回る勢いで急成長を続け、全米36州に展開しました。1年前は 65万人だった会員は250万人に、1400だった契約店舗は3400に、75名だった社員は120人に、当サービスを使った年間販売数は650万件から2300万件になりました。今年はサーバー側の開発を担当し、メンバーと共に上半期はバックエンドコードを書き直して大規模化に備えるとともにフロントエンドにも着手してサイトの使いやすさとデザインを一新しました。後半は顧客関係管理を自動化する商品を開発してこれが契約店舗あたりの売上高を前年比3倍に押し上げる起爆剤になりました。11月には予定していなかった緊急開発案件が舞い込み、私は一晩で製品プロトタイプ作り、次の一週間でデザインの完成度を高め、自ら得意先に出向いて渋る相手と交渉して店に置いて試運転させてもらいました。それを見た社のセールスが興奮して勝手に契約を取ってきてしまい、全8日間で結局ローンチしてしまうという痛快な出来事もありました。その間、大きくなる組織の整理を手伝ったり、週に何度もエンジニア候補の技術面接をしたりとスタートアップならでは忙しさは相変わらずです。

ホビイスト

そんな忙しい仕事の中でも、休む間を惜しんで趣味に走るのが私らしいところです。Raspberry Piを夏に購入し、TORルーターを作って、今やFBIに取り潰されたシルクロードを覗きに行ったり(何も買っていませんのでご心配なく)、グーグルグラスに変な対抗心を燃やして音声入出力のみウェアラブル・コンピュータに仕立てたりして遊んでいました。カメラを搭載して、顔認識プログラムをはしらせ、怪しい実験をしたこともありました。先日はGPSをハンダ付けして位置情報サービスを始めたりと更なる用途拡大を図っています。また、小型のクワッドコプターのキットを買って、久々のハンダ付けに苦労しながら組み立てました。こちらもハードウェアとプログラミングを組み合わせて面白いことができないかと画策中です。

音声入出力のみのウェアラブル・コンピュータをRaspberry Piで

小型クワッドコプター"crazyflie"

データサイエンティスト

こんな感じで楽しい1年を過ごしましたが、やはり40代が近づいてくると、自分がここからどこへ向かうのかと焦燥感にかられることもしばしばです。答えは簡単に見つかるはずもなく、仕事の合間、がむしゃらに勉強を続ける日がほとんどでした。次の一手を考えながら沈痛な面持ちでじっとしている場面が多かったと思います。以前からデータサイエンスという若い分野に興味があったのですが、誕生日の数日後、それが道だと腹に収まる感じを覚え、データサイエンスの道を歩むことにしました。

コンピュータネットワーク技術の発展流通によって、社会のあらゆる分野でデータが日々蓄積されています。データを分析してより効果的な決断を我々が下せるならば社会の幸福度は上がってゆくでしょう。ただしそれらデータが利用目的から見て、一貫性をもって十分に取得されている場合は少なく、誤った利用、非科学的な分析によるいい加減な結論がはびこっているのも現実です。結論を下すための測定内容を定め、経済的なデータ取得方法を確立する。不十分で不完全なデータを整理して、手に入るデータから科学的な結論を絞り出す。そして絞り出した結論を効果的に視覚化し伝える。これらはすべてデータサイエンティストの仕事であり、領域知識、統計、コンピュータサイエンスに通じているとともに、理論を応用するための実務能力が必須です。

データサイエンスというのは最近話題になってきたので、まだほとんどの大学にはそんな学位はありません。多くの企業はデータサイエンティストを雇いたがっていますが、人材は乏しく、企業側も分かって人探しをしているのかといえば怪しい物があります。しかし今後この専門家がさまざまな分野で引っ張りだこになるのは間違いありません。UCバークレーにオンラインの修士号コースが出来ましたので覗いてみましたが、私が既に持っているスキルを教える必修教科が大半です。妻に言わせれば、この分野は授業の演習で学べる事は本当に限られ、現場で生の汚いデータを扱わない限り実力は磨けないとのことです。要は現場へ飛び込んでみること。妻は教育分野で大規模な実証実験をしているので、データサイエンティストが行う仕事の難しさをよく理解しているのです。

私の人生の節目がいつもそうだったように、これだと静かに決めたのは深夜のことです。そういう時は眠れません。微笑ましいことですが、まずはツィッターで「データサイエンティストになることに決めました。」と宣言をしました。まだ何もしてないくせにです。でも自分の人生について自分で決めた道は、人の目は気にせずに堂々と歩いて行けばいいんだと思います。新しい分野の開拓ならばなおさらです。まだ何の実績もないですが、リンクトインとツィッターのプロフィールをデータサイエンティストと変えました。今は芥子粒のようなデータサイエンティストですが、努力してだんだんと大きくしてゆきます。

田中乃悟

これまでの誕生日日記